• 2021.7.22
  • 長浜くらしノートストア

優美な生地が伝える たぐいまれなる技


長浜の伝統的工芸品、輪奈ビロード。
聞き慣れない「輪奈」とは、生地の表面に造られるループのことで、これをそのまま残す部分と断って糸を起毛させた部分との、 起伏で柄を表現します。

 

輪奈ビロード生地。青い色の部分は「針」と呼ばれる芯材。これを抜くと生地のループが浮かび上がる

 

「織田信長の肖像画でよく見る赤いマント、あれが輪奈ビ ロードなんですよ」とタケツネの6代目武田規与枝さん。

2019年に創業100年を迎えたタケツネ。6代目武田規与枝さんは、次の100年を見据えた若手デザイナーらとタッグを組み、輪奈ビロードの可能性を探る。武田さんが羽織るジャケットも輪奈ビロード製だ

 

熟練の手技を必要とし、 今、その製造を手掛けるのは長浜で唯一、全国でも数えるほどしかありません。

 

 

滑らかでシック、高級感を備え、主に着物のコートやショールへの用途が主流ななか、タケツネでは化粧小物やベビーアイテムなど次代を見据えた新たな商品展開を模索。
マスクもその一つとして登場しました。
光の陰影で浮かび上がる生地の模様、優しい肌触り、通気性、創業100年の歴史で培われた技が集約されています。

陰影で生地に浮かび上がる模様が、シックで上品な印象に。耳にかけるゴムはアジャスター付きで調整できるのもうれしい

ウィズコロナの到来、マスクは機能性はもちろん、TPOに応じたデザインも求められることになるでしょう。
輪奈ビロードマスクは、日常使いに加えフォーマルな 場にもふさわしい存在として活躍してくれそうです。

 

矢島絢子
この記事を書いた人
矢島絢子
学生時代+数年を県外で過ごしUターン。冬の寒さをどうやって乗り切るかが毎年の課題。自転車に乗って肌寒さを感じなくなったときが湖北の本当の春到来だと信じています。そんな自転車の速度で感じるような、長浜の空気を伝えて行きます。