• 2021.7.22
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漆器を日常に 幻の「常喜椀」を復活


 

 

吸い込まれるような深いツヤ、手になじむやさしい素材感、漆職人渡邊嘉久さんが手掛ける常喜椀 (じょうぎわん)です。

 

常喜椀はもともと長浜市南部の常喜町一帯で盛んに作られていた漆器ながら、昭和初期で製造が途絶え幻の存在に。それを渡邊さんが復刻。文献を調べ、実物を入手し、自ら図面を起こしくろ職人に挽いてもらった木地に、何度も漆を塗り重ねています。

 

「この漆塗りの技法が、のちにこの地での仏壇製造や長浜曳山祭の曳山装飾にも生かされてきました」
曳山をはじめ市内外の文化財修復にも携わる渡邊さんだからこそ魅せられた器であり、かつては長浜の人たちの生活になじんできたそう。

 

漆器は、子どもでも使いやすく、使うほどにツヤを増し、傷んでも再生できる、日本の暮らしの知恵が生んだ工芸品。もっと気軽に日常に取り入れてほしいとの渡邊さんの思いが込められています。

 


常喜椀

 

渡邊美術工藝
長浜市三ツ矢元町15-30
0749-62-3257
営業時間 8:00~19:00頃
不定休
矢島絢子
この記事を書いた人
矢島絢子
学生時代+数年を県外で過ごしUターン。冬の寒さをどうやって乗り切るかが毎年の課題。自転車に乗って肌寒さを感じなくなったときが湖北の本当の春到来だと信じています。そんな自転車の速度で感じるような、長浜の空気を伝えて行きます。