• 2019.9.21
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「おかえりなさい」が似合う食堂が誕生


伊吹山が見える美しい田園風景を眺めながら一直線の道(郷野湖北線)を北へ向かって進むと、波久奴神社鳥居のそばに大きなガラスのサインが見えます。

大きな古民家をリノベーションした食堂が10月に誕生します。

でも「食堂」という一言で片付けるのはあまりにも上辺すぎて申し訳なくなるほど奥が深い場です。その奥深さとは、カフェに併設して現在整備されている「建築とエネルギーの技術者養成学校」にもあります。こちらは運営開始されたらまた詳しく紹介します。

食堂の名は「おうちごはんキテハ食堂」。併設の学校と総称して「Allmendeキテハ」と言います。整備したのは、市内小谷上山田町にある上山田どっぽ村(※)の立ち上げ人の一人で大工を営む清水陽介さんとご家族。食堂を運営するのは、陽介さんのご息女林ひかるさん。

この食堂は当初学校で学ぶ生徒に食事を提供する場として考えていたようです。しかし、学校は現在構想中で、また生徒だけでなく幅広くこの場を知ってもらうために先行してオープン食堂にしました。

この食堂は、「おかえりなさい」と家族を迎えられるような温かい場。そして生きていくのに大切な食事だから、家族にきちんと手間をかけ、笑顔になってもらえるような場がコンセプト。

ここの料理は農薬、化学肥料不使用の自家栽培の野菜、調理料は無精製のきび砂糖や塩、自分で漬けた味噌などを使った、料理好きなひかるさんの腕をふるった家庭料理。

また、この食堂には一面芝生の大きい中庭と2階のまるで小さい子ども用に作ったかのような天井の低い秘密基地風の遊び場があるのが特徴。ひかるさん自身2児の母親のため、「お母さんにゆっくりしてもらえる場所になれば」と想いを込めています。

さらに、この食堂の大きな特徴としては、ヒーターや厨房の床暖房、給湯の熱源は木材チップ。小型のバイオマスボイラーを導入してコンパクトな地産地消の取組みを実証しています。これは石油といった限りある地下資源から脱却し、森林資源といった循環する地上資源エネルギーを最大限活用する陽介さんのこだわりによるものです。食堂の建物の材料は、木材はもちろんのこと土壁を活用しほとんどが自然に帰るものを利用しています。

木材チップ

小型バイオマスボイラー

田んぼの土を活用した土壁

これは、「キテハ」の名の由来にも伺えます。キテハは、漢字で書くと木手刃、つまり木は資源である材料、手は技術、刃は道具。Allmende(アルマンド)はドイツ語で「共有地」という意味。この3つ(材料、技術、道具)は、個人のものというより共有し、人と自然の接点をもっと増やせる技術を伝え継いでいったほうがいいんじゃないかと陽介さんは言います。今後の学校づくりの基本となる考え方のようです。

10月1日からオープンする「おうちごはんキテハ食堂」。学校の整備とともに、子育て、空き家、エネルギー問題など地域課題に取組み、未来へつなぐきっかけとなる場として今後の動向にも期待できます。

※上山田どっぽ村について http://doppo.jpn.org/

 

おうちごはんキテハ食堂
2019年10月1日オープン

所在地 滋賀県長浜市高畑町298
営業時間 11:00-14:30(ラストオーダー14:00)
定休日 土・日・月
電話 0749-50-6647

川瀬智久
この記事を書いた人
川瀬智久
身長188cm、市役所入庁以来、背の高さだけはNo.1をキープしています(笑) 「人がまちを動かす」を理念に、広報を通じて、人がつながり、共感を与え、市民活動を喚起、活発化させられるようがんばります!今回の取組みで、観光のような「ハレ着」とは違った「普段着」の長浜の魅力、愉しみ方を紹介し、「長浜いいね!遊んでみたいね!住んでみたいね!」と、行動に移してもらえるようデザインしていきたいですね。