長浜の伝統的工芸品、輪奈ビロード。
聞き慣れない「輪奈」とは、生地の表面に造られるループのことで、これをそのまま残す部分と断って糸を起毛させた部分との、 起伏で柄を表現します。

輪奈ビロード生地。青い色の部分は「針」と呼ばれる芯材。これを抜くと生地のループが浮かび上がる
「織田信長の肖像画でよく見る赤いマント、あれが輪奈ビ ロードなんですよ」とタケツネの6代目武田規与枝さん。

2019年に創業100年を迎えたタケツネ。6代目武田規与枝さんは、次の100年を見据えた若手デザイナーらとタッグを組み、輪奈ビロードの可能性を探る。武田さんが羽織るジャケットも輪奈ビロード製だ
熟練の手技を必要とし、 今、その製造を手掛けるのは長浜で唯一、全国でも数えるほどしかありません。
滑らかでシック、高級感を備え、主に着物のコートやショールへの用途が主流ななか、タケツネでは化粧小物やベビーアイテムなど次代を見据えた新たな商品展開を模索。
マスクもその一つとして登場しました。
光の陰影で浮かび上がる生地の模様、優しい肌触り、通気性、創業100年の歴史で培われた技が集約されています。

陰影で生地に浮かび上がる模様が、シックで上品な印象に。耳にかけるゴムはアジャスター付きで調整できるのもうれしい
ウィズコロナの到来、マスクは機能性はもちろん、TPOに応じたデザインも求められることになるでしょう。
輪奈ビロードマスクは、日常使いに加えフォーマルな 場にもふさわしい存在として活躍してくれそうです。