昨日から7月。
梅雨明けはまだですが今日はすっかり夏の気候です。
さらさらとまちなかを流れる米川には小さな魚がたくさん泳いでいます。
この時期一番多いのは小鮎。6月上旬から上がりはじめて、今は大小かなりの数が泳いでいます。ご存知とおり琵琶湖とその流入河川を生息域とする鮎は、降海型の鮎のようには大きくならず、成魚でも10cm前後のサイズです。理由は生育環境の餌にあるとも言われていますが、この小鮎は日本のみならず、世界で唯一琵琶湖だけに生息する特別な鮎です。
※画:今森洋輔「琵琶湖の魚/偕成社」より
そんな特別な子鮎がこんなにたくさん、歴史あるまちの中を元気に泳ぎまわっているのです。長浜はすごいまちなのです。まちなかを歩く際にはぜひ橋の上で立ち止まって米川をのぞいてみてください。元気な小鮎には例年9月頃まで会うことができます。
そしてまた、これもご興味のある方はご存知かと思いますが、米川では小鮎の他にもいろいろな種類の魚を観察することができます。
上の写真に写っているのはオイカワの雄です。
綺麗な魚ですね。
雄の成魚には婚姻色が現れて、黒をベースに赤や青の鮮やかな色彩が抜きん出て綺麗です。とりわけヒレの赤に隣り合う青や黄色のコントラストが眩いお腹の部分。真上からは見えませんが、水草などの障害物近くでからだをクルッと反転させる一瞬に注目して見てください。図鑑で見る通りの鮮やかな色彩が、澄んだ水中で太陽の光を受けて一瞬の輝きを放つと、暑さも気にせず夢中で魚を追いかけた子供の頃の気持ちが閃光のようによぎります(個人の感想です)。
今日の米川。
見るところほかにもこんな面々が泳いでいる様子。
これも体色のコントラストが綺麗でよく目に付きます。
こいつは以前竹かごもんどりにかかってくれました。
米川にいるようなチビでさも小鮎たちを追いかけ回すギャングちゃん。
素早くてはっきりとは判りませんが、横の黒いラインがどうもアブラハヤらしいものもちらほら。
魚が大好きな僕は、全ての種類を捕まえてその姿をまじまじと観察したい、そういう欲求を抑えることができません。ということでよく晴れた本日、米川の魚を捕獲します。
先ずは杭の準備。
よしずの両側に固定していきます。
とりあえず川幅いっぱい分くらい用意しました。
少々大げさな準備のように見えますが、経験のある方はお解りの通り、川魚はとても賢く繊細です。とりわけ今日の米川のようなクリアーで幅の広い水面では、やたらとタモ網で追い回しては成果があがりません。
などと書けば玄人のようですが、今季すでに何度もそうやって泣きを見てきました。
なので今日は準備を整え、本気で、捕りにいくのです。
※遊漁のマナーを守りましょう。(遊漁の手帳はこちら)
ポイントを決めて杭を打ち込みます。
追い込みと方と捕まえ方をイメージしながらの仕込みの作業です。
上流に向かって泳ぐ魚を出口に向かって下流から追い込んで、さで網でキャッチ、というシミュレーション。
追い込み開始。二人が並んで川幅いっぱいに竹竿で水面を叩きなが魚たちを追い込んでいきます。下流から追い込む作戦が功を奏し、水が濁りません◎
さあ、出口へ!!
小鮎は何匹!?オイカワは捕れたか!?
などという期待とは裏腹に、なんと1匹も網に入りません。
賢い魚たちは追い込まれることもなくスルスルと、下流に向かって足元をすり抜ける始末。
上流に向かって追うのは至難の技であることが解り、作戦を変更します。
残念ではありますが魚たちのサイズが大きい米川は断念し、川幅が狭くより確率の高い隣の八幡川へ移動します。
上流から下流へ向かって追い込み、わずかな落差で米川へ水が落ちるポイントでさで網を構える作戦です。これはもう、否応なしに大漁の予感。
例によって竹竿で追い込みます。
ところが、またしても1匹も網に入ってくれません。
2人が並んで4本の竹竿で水面を叩き、全く隙は無いと思うのですが、魚達はスルスルと足元を抜けていきます。少しも追い込まれていない、様子。
もはや手段を選べません。川幅いっぱいによしずを広げてごっそり追い込むことに。魚達がいくら賢くともこれでは逃げようがないでしょう。
正直言ってここまで大人げない手段には出たくありませんでした。ですがそこまでして、捕まえたいのです。
さあいよいよ。
約束された大漁へ、仕上げの段階です。
結果!!
何種の魚達が入ってくれたでしょう!!
まずは小鮎。
黄色い斑点がとても綺麗ですね。鼻を近づけるとスイカのような香りがします。
水槽から川へ飛び出してしまうほどに元気いっぱいです。捕まえるのに苦労するわけです。
お次はアメリカザリガニ。
お腹に卵を抱えていました。そろそろ産卵期のようです。
そしてなんと、
成果は以上、
たったこれだけでした。。。
ここまで念入りに、大掛かりな策を施したにも関わらず。
大人3人が本気になって、たったのこれだけ。
もはや次の手を講じる気力もなく、はっきりとした敗北感に苛まれました。
子供の頃から魚が大好きなのに捕るのも釣るのも下手な僕にとって、成果が少ないのはいつものことではあります。
それでも今日に限っては、数日にわたるイメトレと万全の準備で臨んだにも関わらずこのありさま。もっともっとたくさんの種類の、色とりどりの魚達の姿を写真に収めるシーンをかなり明確にイメージしていただけになおのこと残念でなりません。
でもこうやってなかなか思うようにいかないことも楽しさのひとつ。
次はどんな方法で挑むか。
めげずに次の手を考えることにします。
皆さんもぜひ、身近な魚の観察を楽しんでみてください。
水際ではくれぐれも安全の確保と、遊漁の手帳を始めマナーを守って楽しみましょう。
執筆:竹村光雄