• 2020.8.9
  • 長浜くらしノートストア

一子相伝の伝統民具 


小原かご継承  太々野 㓛さん

豪雪地帯として知られる長浜市余呉地域に、かつ て小原という集落がありました。
この村の名を冠した編みかご「小原かご」は、 800年前に都から隠棲した白子皇子が住民に作り方を教えたという伝承をもち、以後集落で製法が受け継がれてきた民具です。

「100年もつ」「水を入れてもこぼれない」と評されるほど丈夫で精巧なつくりで、野良仕事に、子守カゴに、嫁入り道具にと、暮らしの必需品としても重宝されてきました。

竹やツル製の一般的な編みかごと異なりイタヤカエデの木を原料にし、薄くはいで編み合わせていきます。集落のなかでも一家の長男だけにか伝授されない、一子相伝の技でもありました。

時代を経て作り手は減り、今や小原の継承者としてはただ一人、太々野㓛(ただのつとむ)さんのみ。

小原の集落もまたダ ム建設予定地として廃村になってしまい、今は跡形もありません。
小原かごは、集落の記憶を止める貴重な工芸品なのです。


【小原かご】

取り扱い
あいたくて書房
長浜市木之本町909
090-6900-4512
営業日は店舗ウェブサイトを参照

矢島絢子
この記事を書いた人
矢島絢子
学生時代+数年を県外で過ごしUターン。冬の寒さをどうやって乗り切るかが毎年の課題。自転車に乗って肌寒さを感じなくなったときが湖北の本当の春到来だと信じています。そんな自転車の速度で感じるような、長浜の空気を伝えて行きます。