• 2020.5.31
  • 長浜くらしノートストア

素朴な味わい 本格手焼きせんべい


遠く、琵琶湖を見下ろす高台の住宅地に、突如現れるおせんべい屋さん。
店内の壁にはずらりと焼き型が並び、年代物の製造機を水口隆さんが巧みに操ります。

 

一般に玉子せんべいと言われる朝採れ卵と小麦粉・砂糖を主原料にしたせんべいの製造がメイン。手間暇のかかる昔ながらの手ごね製法で練り上げ焼いた、 素朴さとやさしさを今に伝わる味わいです。
焼き機や道具類は古さゆえに扱いが難しく、細か な調整と勘があってこそ。
それでも「11枚に個性が出る手焼きの良さ」を大切にします。

看板商品の「豆蔵」は、ぎっしりつまったフライビーンズの塩気と生地の甘さの相性が絶妙です。

フライビーンズをこれでもかと詰 め込んだ豆蔵。機械化に流されず、 生地づくりも焼きも、袋詰めもすべて 手作業。手間をかけただけの味がある

 

地元の醤油蔵の味噌を使ったみ そせんべい。さくさくした食感でこちらもやみつきになりそうです。昔ながらのせんべい屋さんが次々に 廃業していくなか、ぜひ使ってほしいと譲り受けた焼型を活用しています。

隆さんはもとはサラリーマンで転勤族。妻の純子さんと、すみかに選んだのがアクセスと環境の良い長浜でした。その後、高齢になった父の跡を継ぐことを決め、京都で約100年営んで いた店を、気に入っていたこの地に移しました。

製菓所があるのは長浜市東部にある七尾山の麓を造成した住宅地。ここから眺める琵琶湖の姿。湖面に浮かぶのは竹生島

毎朝、住宅街に漂うせんべいの焼ける香 ばしい香り。今ではすっかり地域の風物詩です。

妻の純子さんは元管理栄養士。原材料の配合などは夫婦で相談し二人三脚で愛されるせんべい作りに励む

記事:矢島絢子 写真:川瀬智久


【豆蔵、みそっこなど】

水口製菓所
長浜市法楽寺町37-5
0749-74-4117
8時半~17時半
不定休
矢島絢子
この記事を書いた人
矢島絢子
学生時代+数年を県外で過ごしUターン。冬の寒さをどうやって乗り切るかが毎年の課題。自転車に乗って肌寒さを感じなくなったときが湖北の本当の春到来だと信じています。そんな自転車の速度で感じるような、長浜の空気を伝えて行きます。