• 2014.12.19 長浜の人
  • 住まいと暮らし

あふみ舎というフィールドで ――宇留野元徳さん――


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大通寺の表参道。通りの両側に並ぶ各種の店に混じって、「あふみ舎」はある。格子の引き戸をあけると「こんにちは」と舎主の宇留野元徳さんが声をかけてくれる。

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あふみ舎は陶磁器やガラス、銅(金属)、漆などを素材とした工芸品を置くセレクトショップ。宇留野さんが直接作家さんのところへ足を運んで買い付けている。あふみ舎の屋号には「暮らしの道具」の冠がついていて、器やカップ、鉢など身の回りのものがほとんどだ。
品々はどれも、落ち着きのなかにかわいらしさがある。宇留野さんがこれぞと思って仕入れるアイテムは、要するに宇留野さんの人柄なのだろう。

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愛知県出身。滋賀県立大学で建築を専攻する傍ら、手工芸品の世界に傾倒していった。「民芸やアーツクラフトなどの運動を知り、モノとしての工芸品というより、モノをどう扱うかという考え方に興味をもって。それに伴って建築というのは、建物だけではなく空間や中身を含めて提案するのがあるべき形ではないのかと考えるようになっていったんです」。図面をひく仕事をしたいのではないと悟り、そのまま進んだ大学院をあっさり半年でやめた。いったん就職したものの独立を決め、あふみ舎を開くことになった。
「長浜にこだわって物件を探していたわけではなかったんです」。たまたま知人から物件を紹介され、あっさり決めたという。

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かつては時計店が営まれていたという建物は、入り口の土間が店舗スペース。その奥には和室が2間続き、さらにその奥に中庭と蔵がある。いわゆるうなぎの寝床といわれる町家の様式だ。
あふみ舎ではショップとしてだけではなく、フリースペースとしてワークショップやイベントが開かれることもある。お店を訪れ知り合った人が人を呼び、次から次へイベントの企画が生まれて、いつも誰かがこの場所でわいわいと集っている。私もそのひとりで、たびたびここで過ごして、一緒にお酒を飲んでいる気がする。
当の宇留野さんはといえば、そうした集いに参加者として加わるときもあれば、店舗にいて接客をしているときもあるし、もうひとつのなりわいであるデザインの仕事に没頭していることもある。自分のペースを崩さず、かといって無関心ではなく、そこにいる。

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長浜にこだわっていたわけではない。けれど長浜で暮らす人々との出会いは、独立を決めるきっかけのひとつだった。というのは、一度就職した会社はまちづくりを行うコンサルで、その業務として長浜で活躍する人々を取材することがあった。漆職人、酒蔵の蔵元、旅館経営者、農家。長浜が育んできた自然、歴史、文化を継承しながら進化をめざす人たちばかりだった。
「自分はまちづくりを仕事としている一方で、みなさんは仕事をもちながらまちづくりに関わっていて。自分のフィールドをもつということについて真剣に考えるようになったんです」

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今宇留野さんはあふみ舎を営みつつ、この場所を通じて出会った人たちと、このまちで楽しく暮らしていけるような仕組みや企画をいろいろと考えている。
この地を選んだのはたまたまだった。けれど、この地で着実に自分のフィールドを確立させていっているようだ。私はたぶんこれからもたびたびあふみ舎で過ごすだろう。宇留野さんのフィールドがどんな風に展開し発展していくか、けっこう期待を込めているのだ。

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【うつわと生活道具 あふみ舎】
住所:滋賀県長浜市元浜町17-2
WEB:http://afumisha.com/
Facebbok:www.facebook.com/afumisha

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nagahamalabo