• 2015.6.13 長浜の人
  • 食と暮らし

作り手の顔の見える野菜づくりを


シリーズ農業#03 はんのき農園 七里俊光さん
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その人柄だけで、食べなくてもその野菜は美味しいだろうなと感じさせる、そんな農家さん。はんのき農園の七里俊光さんです。湖北町の山本山のふもとで農薬と化学肥料を使用せず、愛情と手間を惜しまない野菜作りに挑戦されています。「はんのき農園の野菜作りは家庭菜園の延長です」と七里さん。家庭の菜園で作れるような旬の野菜であったり、食卓に並びやすく普段から親しみのある野菜だからこそ、その仕事の丁寧さが一層伝わってきます。

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七里さんは生まれも湖北町。遊び場は家の周りの田畑から山川だったと懐かしむ反面、自身の成長期と重なるように農地の区画整備や護岸改修によって、自然の遊び場が消えていくことが残念でならなかったと当時を振り返ります。そうした身の回りの環境の変化からか、高校の頃にはすでに環境問題に強い関心を向け、多くの同世代が都会へのあこがれを持って進学していくのに対し、地元の環境をよくしたいという夢を持って東京へ進学します。

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大学時代は農業工学を学び、就職も思い通りにいったという七里さん。高校の頃からの目標に一歩ずつ近づき、仕事に充実していましたが、大学時代に見つけたもう一つの夢が諦めきれず、父親の勘当するという言葉を振りきって、転職することに。その夢とは、根っからの自然好きが高じた結果か、大学時代に没頭したカメラを通して自然を切り取るネイチャーフォトグラファー。
東京でのアシスタント期間を経て、フォトグラファーの仕事をするために滋賀に戻りますが、どこかに悶々とした気持ちを抱えていたといいます。本当に自分がなにがしたいのかと自問自答する日々の中で、「ふと顔をあげた時に目に入った田んぼがきっかけだった。農業がある」自然の摂理に従って、食べ物を作るという本能的な仕事をイメージしたとき、すーっと受け入れることができたとか。有機農業を地元湖北町でしたいという新たな思いを胸に七里さんの農業が始まったのは10年前。

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一年の研修と湖北町の農業法人での経験を糧に独立したのは2014年の3月。独立のきっかけは、農業法人のような、多くを収穫し出荷していくというスタイルではなく、体を作る源である野菜だから美味しいものを作りたいという思いでした。「無農薬の田圃で草むしりをしている時にいろいろな生き物がイキイキとしたいた」それを見た時に作業は辛いが、リラックスできる心地よさがあったと、農薬を使わず自然の環境の中野菜作りを行う心が決まったのです。

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今は独立してようやく二年目。「野菜作りの面白さは、手をかければかけるだけ味に出やすいこと」その反応が面白い反面、手をかけてあげないと出来ない難しさがあります。農薬や化学肥料を使わない農業は、生産効率も悪く、道楽に思われたりと一筋にはいかない面も。しかし、野菜を食べてくれる人との声を直接聞く中で、安心・安全な顔の見える野菜を求めているひとが多いという事が仕事の励みになっています。今の自分の農業を「恐る恐る」だと表現した七里さん。技術を確立し堂々と作りたいと意気込みを語ってくれました。

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そういえば屋号に使われている「ハンノキ」は湖北の農業の原風景。ハンノキの木陰が農作業中の休憩場所になったり、秋には藁をはざぼししたりと、農家さんとは切っても切れない関係でした。しかし、前述した圃場整備によってほとんどは失われたといいます。はんのき農園とは、そんな農業と密接な関係にあり、農家さんの原風景であるハンノキのもつ「荘厳さや逞しさ」といった木言葉にあやかった屋号なのです。

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2014年は25品目に挑戦し、今年は30品目作りたいという野菜たちは基本的には自然の流れで出来る旬の野菜です。
そんなはんのき農園の七里さんの野菜が購入できる場所は、下記のとおりです(2015年5月現在)


①道の駅・湖北みずどりステーション
〒529-0365 滋賀県長浜市湖北町今西1731-1
TEL:0749-79-8060
営業時間 9:00〜18:00

②さざなみ古書店
〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町14-23
TEL:080-1723-0987
営業時間 12:00〜17:00
定休日 木曜日

③うらくろマルシェ
さざなみ古書店前、うらくろ通り
開催日:毎月第三土曜日
開催時間:10:00〜16:00
※うらくろマルシェには七里さん自ら出店されます。
※野菜は季節のものですので、上記①〜③で必ずしも並んでいるとは限りません。


はんのき農園 七里俊光
長浜市湖北町山本

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nagahamalabo