長浜生活文化研究所では、食にまつわる人やわざや想いを後世につなぐ団体「TSUNAGU〜つなぐ〜」とともに、イベント「食卓から守る湖北の風景」を8月29日えきまちテラス長浜で開催しました。これは、地元の旬の食材を使った「湖北のお弁当」を、食と暮らしにまつわるお話しを聞いて賞味いただくものです。
イベントタイトルから、「どうやって食卓から風景を守るの?」「食卓と風景って関係あるの?」と疑問が湧くかもしれません。
実は食卓(食)と風景はとても密接につながっていて、今回のイベントでお伝えしたいことをトークイベントのゲストお二人のお話しから紹介します。
ゲストは、淡水魚と人の暮らしのつながりを研究され、琵琶湖のゆりかご水田プロジェクトを推進している琵琶湖博物館学芸員の金尾滋史さん。そして聞き手に、賤ヶ岳の麓の古民家で、自身で作った米や旬の野菜、琵琶湖の湖魚をつかった料理を提供する丘峰喫茶店の堀江昌史さん。
お話では、お弁当のメインである「鮎」や「ビワマス」のお話を中心に、琵琶湖では大きくならない小鮎の理由や、ビワマスの生態、アメノウオご飯について、そして、どちらの魚も琵琶湖と川両方で過ごし、その両方の環境が良好でないと生きていけない魚であることを動画や写真を交えて紹介。
「琵琶湖の魚はおいしいが、海の魚と比べ小骨が多いなど調理に手間がかかる。今は海の魚が身近に手に入り、琵琶湖の魚が食卓から離れてきている。これは私たちの関心が琵琶湖そして湖北の風景から離れているのではと危惧してしまう」。
「田畑でも同じことが言え、今回のお弁当にも入っていて、湖北では365日食卓にあがるイメージの漬物は、それを作るために畑で野菜を作る。漬物をやめてしまえば、畑は耕作放棄地となり、やがて駐車場となり、大好きなのどかな湖北の風景が失われる」。
「この素敵な湖北の風景を守るためには、まずは、琵琶湖や田畑に関心を持ってもらうことが大切で、一番関心を持ってもらいやすいのが食べることではないか」。と、食卓と湖北の風景の関わり、そして守ることを話されました。
今回のお弁当は、地元の人が大切に生産し、その産み手の想いを長年継がれてきた暮らしの知恵で仕立てたものです。
「地元の魚や米・野菜をおいしくいただくことが、湖北の風景を守ることになる」ということをこのお弁当を通じて伝わればと締めくくりました。
このトークイベントの様子は、YouTubeでも見ることができます。
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