• 2015.2.20 長浜の人
  • 食と暮らし

みんなが幸せになるいちごづくりを


 

シリーズ農業#02
純野菜王国 吉安純一郎さん

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 地元長浜出身の吉安さんは8年前に一からいちご作りを始めました。就職氷河期と言われ就職が困難だった時期に、獲得した内定を蹴ってまで自分に向いている仕事を見つめなおし、その末に辿り着いたのが農業だったと当時を振り返ります。

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 吉安さんは、大学進学などで同世代の学生たちが都会に憧れを持つのとは対照的に、長浜での暮らしに何の不満もなく大学卒業後は抵抗なく長浜に戻ってきたと言います。大学時代、生き物を相手にする研究を専門にしていました。そのせいもあって、生き物に関われる仕事をと考えていたとき、地域農業の発展や後継者育成を目的とするJA主導型の農業生産法人グリーンパワー長浜が、研修生を募集してることを知ります。その後グリーンパワー長浜での研修と農園での勤務を通し、農業という職能の素晴らしさを実感してくことに。一方で、務める中での苦労も多かったといいますが、夢を持って始めた農業をこのままやめるわけにはいかないと、自立して行くことを決意。自己資金ではじめられ、県で奨励していた農産物であるいちごで農業を始めることに。

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 設備投資等で途方も無い金額が必要になり、基板がない状態で始めるにはリスクが大きい稲作に対し、いちごは土地とハウス、電気や水さえあれば比較的初期投資も少なく始めることが可能だと言います。務めていた3年間に広がった農業者の人脈を活用し、土地を見つけ、ハウスも一棟は知り合いから資材を頂いたたりと、ハウス2棟で吉安さんの「王国」が遂に始まりました。開園後3年間は直売所を巡っていちごの販売先を作っていましたが、いちご狩りを本格的にはじめ、いちご狩りや農園の様子を案内するホームページを開設するようになるとお客さんも増え、事業も軌道に乗り始めます。いつしか直売所へ売り場を求めることはなくなり、ハウス前でのいちご(春~秋はトマトやきゅうりも)の直売といちご狩りだけに。今では、いちご狩りが忙しい12月の週末は予約がいっぱいで早めに予約をしないと受け入れられないほどの人気があります。

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 「生き物を育てるのが面白い」と農業の魅力を教えてくれた吉安さん。毎年待ってくれているお客さんにもっと美味しいものをお届けしたいと、植物の生態を考えながらハウスの設備や栽培技術を改良し続けています。「最高の物が作れたならその人の農業はそこでおしまい。だから常に最高が目指していけるんだ」と話すその姿はまさに職人。

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「来てよかった」「今までで一番美味しかった」

いちごを食べることで幸せになれる人がたくさんいて、そんな人たちの声が聞きたくて最高の農業を目指し続ける「農業家」の吉安さんがいる。純野菜王国の農業は単なる「食材」の生産の場ではなく、みんなの「幸せ」を生み出してくれる吉安さんの世界です。

【いちごについて】
いちご狩り時期_1月~5月 要予約
いちごの販売時期_12月~5月 直売
品種_章姫(やわらかく、酸味が少ないあっさりした味わい)
紅ほっぺ(酸味と甘味の強く濃厚な味わい)

【純野菜王国】
住所_滋賀県長浜市榎木町
HP_http://junoukoku.com/
電話_090-8822-8360(受付時間:9~17時)
定休日_火曜日

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執筆:宇留野

この記事を書いた人
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