• 2015.5.28 長浜の風景

山門水源の森は多様な動植物のゆりかご


林野庁指定の水源の森百選のひとつ「山門水源の森」は、長浜市西浅井町の最北端福井県境に近い野坂山地にあります。この森では、豊富な種類の動植物が見られ、「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」を中心に保全活動が行われています。このあたりの詳しい内容は、同会ホームページをご覧ください。

http://www.digitalsolution.co.jp/nature/yamakado/index.html

この森は、観賞する目的よりも多様な生態を保全する目的が優位にあることを知っていただきたいと思います。

ただ、山門水源の森は、コースも整備されており、多様な生態が間近で見られるため、ハイキングを楽しむにはうってつけの場所です。

今回は、山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会事務局長の橋本勘氏に案内していただき、5月16日に観賞してきましたのでお知らせします。

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山門水源の森入口桟橋

山門水源の森入口桟橋

山門水源の森入口です。よく見ると、桟橋の下に白い物体が見えますね。モリアオガエルの卵です。10日から2週間ほどで孵化するようです。

 

シカの食害防止

シカの食害防止

ヒノキは、シカの食害がひどいので、ビニールひもを巻いています。これで食害はいくらか緩和するそうです。ちなみに、木は表面で水を吸い上げており、樹皮が食害に合うと木は枯れてしまいます。

 

ホオノキからの木漏れ日

ホオノキからの木漏れ日

ホオノキからの木漏れ日がきれいですね。ホオノキの葉は、殺菌効果があり食材を包んで、朴葉寿司、朴葉餅に使われます。また葉は熱にも強く、朴葉味噌などにも使われます。

 

アカハライモリ

赤い腹をしているので、アカハライモリ。森では、たくさん個体を見つけました。

 

スズメバチトラップ

スズメバチトラップです。ペットボトルに酒、砂糖、酢を入れて小さな切れ込みを入れます。スズメバチの好きなにおいらしく、スズメバチが入ります。入れば習性で二度とでられないようです。人が入ることで生態系を維持している里山ならではの工夫ですね。

 

タゴガエル

石の色と同化しているタゴガエル。なかなか見つけられませんが、橋本事務局長の目に留まりましたさすがです。

 

かつての炭焼き小屋

かつての炭焼き小屋

今から60年ほど前まで、この森は、炭、薪の産地でした。当時の炭焼き小屋です。この森での炭焼きは、60年前に終了するまで1000年以上続いていました。

 

アカガシ

アカガシ

成長しすぎたアカガシのヒコバエ。

 

ササユリ

ササユリ

ササユリを保護しています。森の保全によって、ようやく芽を出したササユリ、何もしないと、シカにすべて食べられてしまいます。

 

山門湿原

山門湿原

山門湿原です。この日は雨上がりということもあって、かなり幻想的でした。ここにゴルフ場を作る計画だったそうですが、この景色が見られるなら残して正解だったと思えてきます。左から中央に柵が見えますが、湿原内にある、ミツガシワなどの貴重な植物をシカ、イノシシの食害から守るためです。

 

蓮理の枝

蓮理の枝

木が枝分かれして、その枝と幹が枝でつながっているめずらしいものです。蓮理というそうです。
木と木がつながって、相思相愛ですので、ここをくぐると木から恋愛のパワーがもらえるかもしれません。

 

森の木漏れ日

森の木漏れ日

森中腹の四季の森です。カエデやホオノキなどの木々が見られます。木漏れ日を浴びて少し休憩、癒されます。

 

ユキバタツバキ案内板

ユキバタツバキ案内板

この森は、日本の生物の北限、南限が混在するところです。暖かい地域にある「ヤブツバキ」、寒い地域にある「ユキツバキ」、それぞれの北限、南限がここにあり、両方の雑種である「ユキバタツバキ」が群生しています。あいにく花は終わりましたが、また来年の早春を楽しみにしたいです。
なお、そのほかにも、暖かいところを好むアカガシの北限がこの森であり、寒いところを好むブナの南限がこの森にあります。

 

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最後に土をペットボトルに入れて、水を流すという実験をしていただきました。上は普通の土、下はブナの木の下の土です、明らかに左は土ごと流れてしまっていますが、右はゆっくり流れているのがわかります。ブナの木の森が保水力のある証明ですね。

 

橋本事務局長

橋本事務局長

今回の案内役橋本事務局長のショット。これまでの取り組みの成果も徐々に現れ、次の目標も定まり、自信とやる気に満ちた表情、素敵です。

橋本さんは、我々の案内をしながら、次のように語ってくれました。

一般的に里山と呼ばれる森は、人が利用することで生態系が維持されてきました。山門水源の森の場合は炭焼きや薪利用が繰り返し行われてきました。ところが人が利用しなくなることによって生態系が変化しました。
たとえば、切られずに大きく成長した木が茂り薄暗くなった森では、光が地面まで届きにくくなったため、ササユリなどは育つことができなくなりました。
60年前まで行われていた炭焼きでは、切り株から成長する萌芽(ヒコバエ)を成長させることによって繰り返し利用してきましたが、これがストップしたことで、コナラやアカガシが大木化し、カシノナガキクイムシの繁殖しやすい環境となり、立ち枯れが目立つようになりました。
森の保水力という面では、スギやヒノキのような常緑樹だけでない、さまざまな木や下草が生えている状態が重要となります。特にブナに代表される落葉広葉樹はふかふかの土を作ることで保水力のある森となります。一方木が枯れてしまうと落ち葉がなくなるため降った雨が直接地面の土を流してしまい、一気に下流の川へ流れます。これが洪水や土砂崩れを引き起こす原因ともなります。
意外なことは常緑樹だけの森でも光が届きにくく下草が生えないため同様のことが起こります。加えて最近ではシカの頭数増加による食害が深刻化しており、せっかく生えた下草が食べられ、同様のことが起こっています。

では昔は良かったのかというと、そう単純な話ではありません。むしろ木を頻繁に切っていた頃は今よりも土砂崩れが多かったとも言われています。

現在私たちがやろうとしていることは適度な手入れによって健全な森を維持することです。炭を焼くことはしませんが、大きくなりすぎたアカガシなどは切ることが必要です。そのような手入れが生物多様性の維持にもつながっています。

 

[場] 滋賀県長浜市西浅井町山門
http://www.digitalsolution.co.jp/nature/yamakado/contents/acces.html
[時] 特に定めなし
[休] 特に定めなし ガイドは要予約(お申込みは下記サイトから)
[¥] 特に定めなし 山門水源の森の保全のため1人200円程度の協力金をお願いしています。
[問] http://www.digitalsolution.co.jp/nature/yamakado/
[アクセス]
○電車の場合 近江塩津駅下車 新道野行きバス 上沓掛バス停下車 徒歩800m
永原駅下車 おでかけワゴン(詳細 西浅井総合サービス 電話0749-89-0281)

○車の場合  木之本ICから約13km(約16分)
国道161号高島市「野口」の交差点から約10km(約12分)
国道8号線敦賀市「白銀」の交差点から約15km(約18分)
西浅井斎苑駐車場を利用
カーナビへの入力は伊香クリーンプラザ tel0749-88-0088が便利です。

[ハイキングを楽しむための注意事項]
1.「山門水源の森」は里山です。3つのコースがあります。
1.ブナの森コース(約4km) 約3.5時間
2.四季の森コース(約3.5km) 約3時間
3.湿原往復コース(約2km) 約1.5時間
・ハイキングにふさわしい服装で入山してください。
・山道のため軽登山以上の装備は必要です。転倒時などに備え両手を明けておくのが基本です。また、マムシが生息していますので注意してください。

2.湿原への立ち入りは止めましょう。
「山門湿原」は保護するために木柵がしてあります。自然のサイクルを破壊しないためにも絶対に湿原は入らないようにしてください。厳禁です。

3.動植物の採取はやめましょう。「保安林」で規制されています。
この森や湿原には学術上貴重な動植物が数多く生息しています。また、保安林に指定されており、人為的な行為について規則があります。一つ一つが森の生態系を維持しており、自然景観を保っています。昆虫採取、山菜採り、落葉・落枝一本でも採集等はやめましょう。

4.ゴミは家まで持ち帰りましょう。
この森にはゴミ箱はありません。ほかの荷物と一緒に家まで持ち帰りましょう。美しい「山門水源の森」を維持するためにご協力をお願いします。飯ごう炊さん等も禁止です。

5.ペットなどの持ち込みはやめましょう。
「山門水源の森」に生息する野生動物への脅威となったり、伝染病などを伝搬させたりする恐れがあります。ほかの利用者の迷惑になりますので、持ち込みはやめましょう。

6.トイレについて
入り口から150メートルほど行ったところにバイオトイレがあります。
ただし、処理能力が限られるため事前に済ましておくことをおすすめします。

7.山火事に注意
山火事が発生すれば、この森は焼失してしまいます。禁煙にご協力お願いします。

この記事を書いた人
和人安藤