長浜の魅力を発信してみませんか?
29年度より始まった、ながはま市民活動センターのプロジェクト「市民カメライター養成講座」。
市民カメライター養成講座とは、受講者が全四回の講座を通して、長浜の良いところを自ら発信出来る「市民カメライター(カメラ+ライター)」になるためのプロジェクトです。取材の仕方や記事の書き方、写真の撮り方などをそれぞれその道のプロから実践的なワークショップを通して学び、最終的には、長浜に関する記事を作成しこの「長浜暮らしノート」のWEBサイト上で発信します。
“「長浜へ行ってみたいな」。自分の作った記事が、誰かのそんなきっかけになることをめざします!”
今回長浜生活文化研究所では、このプロジェクトの様子を一回から四回まで取材し、その様子をお伝えしていきます。
第一回の会場長浜旧開知学校。木造三階建ての擬洋風建築が目を引きます
講座概要
ホームページ→http://www.city.nagahama.lg.jp/0000002703.html
第1回 6月18日(日)
「市民カメライターってなあに? 」
講師:コミュニケーションエンジニア 原田博一氏
〇第2回 7月9日(日)
「ライターに学ぶ取材術、文章作成術」
講師:矢島絢子 市民活動支援コーディネーター
第3回 7月30日(日)
「ウェブ掲載のための写真撮影術」
講師:ウェブマガジン「ナガジン」編集長 村上裕一氏
8月中の自主課題
実践編「自分で記事をつくってみよう!」
受講者各自が取材対象を決め、実際に取材します。テーマは「長浜の人」。
第4回 9月上旬
「講師陣に講評してもらおう!」
第一回の講座スタート
市民カメライター養成講座の発起人の市民活動センターに所属する矢島絢子さんは長浜生活文化研究所のライターでもあります。普段からライターとして地域を奔走する矢島さんの企画する講座だけに、市民カメライター養成講座への期待が高まります。
コーディネーターの矢島さん
そして、第一回の講座を担当する株式会社イミカの原田博一さんは、一般的なイメージからは少し違った印象を受けるキャリアの持ち主。富士通株式会社のエンジニアとして活躍後、富士通研究所で製品とユーザーの間の対人コミュニケーションを研究する分野に進みます。そこでの方法論から発展し、企業から全国各地の地域の人材育成まで幅広く活動をされています。
長浜でも3年間に渡り、市の事業である「子ども長浜学」にも携わり、子ども記者の育成に務めてきました。
講師の株式会社イミカ、原田博一さん
さて、次回以降第二回では、インタビューや記事の書き方、第三回ではWEBでの情報発信における写真の活用方法を学ぶということで、今回は前提となるコミュニケーションの基本についてのレクチャーをしていただきました。
本日のテーマは3つ
1、市民カメライターってなあに?
2、取材や文章作成に役立つ!コミュニケーションの基本
3,コミュニケーションの視点から見る、文章作成のコツ
市民カメライターってなあに?
一言で言えば「市民記者」のこと。特にポジティブな情報発信をすることで、まちの活性化に貢献するということころがポイント。原田さんの講義で分かりやすかった説明が、これ。
「新聞記者は通り過ぎていく記者」
「市民記者は立ち止まっている記者」
つまり自分のくらしを基準として地域を切り撮る情報を発信する記者が市民記者ですね。
コミュニケーションの基本“きく”
私はこれまで何度も原田さんの講義を聞く機会があったのですが、一番印象に残りやすく普段から意識できるのがこのお話です。
「聞く」「聴く」「訊く」
全部おなじ「きく」ですが、漢字の成り立ちからそれぞれの「きく」の違いがわかってきます。順に、耳に入ってくること、意識を傾けてきくこと、疑問点などを言葉で確認すること。
「聞く」はフィールドワークでの観察、「聴く」「訊く」はインタビューでのコミュニケーションの手段としてそれぞれ活躍してきます。この「きく」を意識する、意識しないかだけで随分取材の充実度が変わってくるように感じます。
今回の原田さんの講義では、コミュニケーションのコツをこの3つの「きく」それぞれの側面から、紹介してくださりすべて細かく説明したいところですが、この中でも私が特に参考になったことを紹介したいと思います。
インタビューのコツ1:そのまま受け取る
文字通り相手の行ったことをそのまま受け取ることなのですが、私たちはどうしても自分の考えや解釈に基づいて情報を整理しがちです。取材ではより多くの情報を集めることが大事なのに、自分の解釈によって飲み込んでしまうことでその情報をシャットアウトしてしまうことにつながるそうです。
このように考えると「そのまま受け取る」ことはとてもむずかしいことのように感じますが、一番簡単に解釈を挟まない方法は“かっこ”でくくること。つまり相手が言ったことを事実として記録することです。
さらに一歩進んで、相手のことを理解し自分の判断を保留するために原田さんが引用したのが「6眼モデル」。これは人の偏見を捉えるための心理テストのことで、このモデルによって自分と相手との価値観の違いを理解し、無理に相手を自分の枠に当てはめず、相手に寄り添った取材を可能にしてくれるとか。
6眼モデルと3つの軸
「問題意識の軸」 未来視点←→過去視点
「認識の軸」 デジタル視点←→アナログ視点
「意思決定の軸」 主体視点←→客体視点
このモデルでは、それぞれの軸に於いて相手がどのポジションに位置しているかを把握でき、自信との価値観の差が明らかになるというものです。この価値観に沿って取材を組みた立てることで相手もコミュニケーションが取りやすくなる一方で、相手の思考タイプとは反対の質問をすることで、相手にとっても新しい発見となるような効果的な取材をすることも出来るかもしれません。
講義の中の演習では、隣同士で、相手がどのモデルに位置するのか簡単な会話を通して分析しあいましたが、相手のことが解るだけでなく、普段意識していない自分の特性がこのモデル上で明らかになったりと驚きや納得の声が上がりました。是非一度この6眼モデルに則って自分を分析してみてはいかがですか。
アウトプット:心理的時間の構造
インタビューのコツでは「エピソード記憶」や「閉じた質問、開いた質問」など取材の際のノウハウをたくさん教えていただきましたが最後にアウトプットのコツ「心理的時間の構造」を少しだけ。
時間の流れは物理的には過去、現在、未来ですが、わたしたちは次のように認識しているんだとか。
〈現在が過去を意味づける〉
↓
〈意味づけた過から未来を構想する〉
↓
〈構想した未来が現在を方向づける〉
つまり、現在、過去、未来、現在(近未来)
この認識、流れをもとに取材し記事にするとすっと馴染みやすい文章の型が出来上がります。
例えば、面白い活動を行っている人、団体の取材場合。
〈いま、どんな活動をしているのか〉
↓
〈活動に至る背景、きっかけ〉
↓
〈想い描く将来像〉
↓
〈その実現に向けた今後の動き〉
これはあくまで一つの型ですが、こうして分解しながら見ていくと、取材したり記事にするのには対人スキルはもちろんあるに越したことはないですが、技術的な側面によってカバーできることがわかってきました。
取材は日常の会話ではない
もちろんこの原田さんの講義はあくまでライターの入口のコミュニケーション。
受講者の皆さんが、のこりの講義で更に実践的なノウハウを習得し、どんな視点で長浜を切り取り記事にしていくのか今から楽しみです。
おまけ
「聞く」=「観察」のコツの中でのわたしたちの“視野”についての注意事項です。
見ることにしても、聞くことにしても、何かに集中した途端、わたしたちが意識的に受け取れる情報は一気に狭まってしまいます。例えば人間が機能的に見えている視野角は約200度と言われているのに対し、意識的に見れる角度は10度以下だとか。
そのことを気づかせてくれると原田さんが紹介した動画は目から鱗なのでぜひ一度ご覧になってください。