古民家を舞台空間として甦らせた余呉町坂口にある「余呉小劇場 弥吉」。
5月8日(日)~14日(土)まで「弥吉」の開館10周年記念として、作品展とコンサートが開催されました。
弥吉を運営する東野昌子さん
テーマは「ぬの織り ことば織り」
これまで弥吉に関わってきたゆかりの芸術家の作品や音楽に楽しむ企画として開催。
7人の作家による、切り絵や絵画、布織物など約60点が並びました。
5月8日には室井三紀さんの筑前琵琶コンサート、5月14日にはソプラノコンサート(語り 吉田路子さん、歌 鳥塚貴絵さん、ピアノ 川村絵美さん)が行われ、アンコールでは星巡りの歌をみんなで歌い、吉田さんの「雨ニモマケズ」の語りがありました。
弥吉をつくるまで
ここで弥吉を作った経緯について東野さんは次のように教えてくださいました。
「昭和40年頃、全国的に女性の社会進出が進むようになって、子どもを預ける場所の需要が高まっていました。当時大津に住んでいた私は、滋賀県で初めて保育園(共同保育所)設立に携わっていました。その頃にたまたま新聞で「親子劇場」の記事を見かけて、自分の子供の為にも優れた文化・芸術を自分の子供の為にも見せたいと大津に「親子劇場」を作ることになりました」
親子劇場とは*********************************
演劇や音楽などの生の舞台を鑑賞することと、ハイキングやキャンプの他、
様々な遊びを通じて、子供の健全育成を目的としたグループ活動。
九州で始められた取り組みが全国に広まった。
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大津で約30年ほど親子劇場を運営してきた東野さんに転機が訪れたのは、今から15年前のことです。東野さんのご主人のお母さんを介護するため、余呉の坂口に移り住むことになったのです。
その後お母さんが亡くなり、築250年の古民家が残りました。そこで、大津の親子劇場で培ったノウハウと、人の繋がりを活かして何かできないかと考えるようになり、近所の人たちの協力を得て古民家を改修し弥吉が生まれました。2006年のことでした。
弥吉らしい企画を考えていく
「弥吉で開催する催しは単なるイベントではなく、芸術の本質をとらえるもの。そしてアーティストの思いを届ける場所。自分が信じる“本物”を周囲に繋げていく…。その連続で10年が経ちました。これからも続けていきたい。」
これが東野さんの弥吉への想いです。
【余呉小劇場 弥吉】
長浜市余呉町坂口561
問い合わせ(tel:0749-86-3249)
記事執筆:森屋 結