• 2018.10.4
  • 市民カメライター養成講座
  • 2018市民ライター養成講座

庭師とガーデンデザイナーの二つの匠の顔を持つ情熱の人


中川造園・庭屋六花 中川茂樹さん

 

長浜市が誇る名庭園・慶雲館の2階からの眺め

 

「庭屋六花」設立までの歩み

中川茂樹さんは、長浜庭園文化を継承する「中川造園」と、独自の価値観で家族に笑顔をもたらす庭を提案するガーデン工事店「庭屋六花(ろっか)」で活躍する、若き庭のクリエーターです。

長浜で生まれ育ち、名古屋芸術大学を2002年に卒業された後、京都の北山造園北山安夫氏に師事。京都御所など数多くの文化財庭園で修行を重ね、庭師としての基礎を築きました。
Uターン後は、家業中川造園の後継者として従事しつつ、日本庭園の職人として腕を磨きました。
そのなかでもっと楽しく、もっと感動があって、もっと自由にと、庭の新しい可能性を追い求め、2015年庭屋六花を設立。

ちなみに中川さんの父、源蔵さんは、市内での伝統的な庭園づくりの名匠であり、慶雲館(国名勝)の日本庭園修復工事にも従事。NPO法人まちづくり役場発行「ながはまのお庭」では、庭園の専門家として監修役で登場されています。

自身が手がけた庭で思いを伝える中川さん

 

2人の子供の子煩悩な父親でもある中川さん。家族を持ったことで、庭への思いが変化してきました。
外構としての庭とか日本庭園文化としての枠を取っ払って、家族が共に過ごす幸せを感じる場としての庭の形を考えるようになりました。
既存の枠ではできないことに挑戦し、自分の考える庭園スタイルをお客様に提供したいとの思いから、庭屋六花を起業する決断に至りました。
「六花」とは、雪の別名で、結晶の形が花のような六角形になることが由来です。水が凍る際に、環境に一番合う美しい形で結晶となるように、お客様のしあわせを庭として創造する思いで決めました。また「にわやろっか」は、「にわ」+「やろっか」のかけことばです。庭で楽しいことやろう、みんなでやろうとの思いを込めています。
現状は、主に個人宅の工事依頼を手掛けています。特に、子育て世代の新築外構のデザインを提案し、施工。
「お客様の要望や大切にされていることを聞き取った上で、自然の美しさや豊かさを取入れつつ、日々の暮らしに季節や潤いを感じることができる庭をプランニングします。お客様をしあわせにする庭をつくることが、自分の使命だと感じています」
そんな風に、これまでの歩みを熱く語っていただきました。

 

生育診断しながらお客様の声を聴く

 

チャレンジを続けるガーデンコンテスト

自分自身を高める場として様々なコンテストにも出展。自分のデザイン力を業界の最前線で試し、次なる課題を明確にしていきたいとの思いからだそうです。
「出展を通じ自分の考えるデザイン・コンセプトが時代に通用するのか。不安を感じながらも挑むことで、新しい表現技術やプレゼンテーション力など多くのことを学ぶことができました」と中川さん。
新たな課題や新しい分野の発見など得ることも多いとはいえ、出展にはかなりの費用が必要で、チャレンジを継続するには大きな壁となっているそう。
芸術や文化を育てるには、スポンサーのサポートが必要なことは、長浜文化の発展の歴史を見ても明らかだということがわかります。

 

2018国際バラとガーデニングショーの出展作品(写真提供 中川さん)

2018国際バラとガーデニングショーの出展作品(写真提供 中川さん)

 

これまでの庭づくり

中川さんに湖北の庭の特徴について教えていただきました。
湖北には日本庭園が多くあります。そもそも昔の農家には家と家の間に稲などを干したりするための大きな敷地がありました。しかし、乾燥機などの普及に伴って広い場所は不要になり、その空き地の活用方法の一旦として庭を作りました。さらに、20年以上前の景気の良い時代は、退職金などの余裕資金で松と石灯籠に代表される和風の庭づくりが盛んになりました。

過去に作庭した一般的な個人庭園の例

 

しかし、次第に継続的な手入れが必要な日本庭園は敬遠され、手間のかからないコンクリートにどんどん取って変わっています。
現在の造園業は、過去の成功体験に乗ったまま新しい提案ができず、時代の流れに大きく取り残されている状況です。

 

長浜の庭園をリガーデンで魅せる

かつて、長浜は大茶人で作庭家でもある小堀遠州を輩出した地であり、数多くの文化財庭園が残る地です。また、高月町では野神と呼んで巨木を大切にする文化があり、自然を敬い楽しむ伝統が残る心地良い所です。

高月町の野神の一例

 

「先人から受継いだ豊かな庭園文化を継承しつつ、時代に合った新しい文化を創造し、発展させることが必要だと感じます」としたうえで
「その一方で伝統だけの懐古趣味や合理性の追求だけではなく、常に家族ともに生き続ける豊かな庭がある暮らしを模索していきたいと考えています。例えば、山に育つ雑木や転がる石ころが、自然とのきずなを通じて、しあわせを感ずる素材となると思い、庭づくりに活用しています。
古い中にも新しい感動がある庭にリフォームし、長浜の庭園文化を変革させるのが、私の願いです」
最後に今後の抱負を力強く語っていただきました。

山採りの雑木と山の石

山採りの雑木と山の石

 

今回取材に協力いただいたお客様の声

Q:庭屋六花をどのように知りましたか。
A:ウェブ検索でガーデン工事店を探し、ホームページを見て今風のスタイルだと感じました。
Q:提案内容に満足されましたか。
A:様々な雑木を組み合わせて植えることで、自然な雰囲気を上手に作っていただきました。
懐かしい手押し井戸ポンプなど遊び心の提案もあり、楽しく感じました。
Q:工事に対して一言ありますか。
A:木製フェンスのペンキ塗りのお手伝いもやらしていただき、自然との共存を感じる空間が身近にできたことに感謝しています。
 
田中創
この記事を書いた人
田中創
定年退職後、地方暮らしに憧れ、東京から移住。 東京有楽町にあるNPOふるさと回帰センターで「ほどほどの田舎」「ほどほどの都会」をPRする滋賀県を知り、自然と歴史・文化が共存する長浜市を永住の地とする。自称「ふるさと回帰サポート」として、びわこ長浜の情報を発信している。