• 2016.8.7
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小谷伊部自治会 郷土誌をまとめる


 

小谷山のふもと、湖北町伊部の住民が、地元の歴史や文化を4年がかりで郷土誌としてまとめた『ふるさと伊部』を2015年に発刊しました。

 

sふるさと伊部・表紙

 

「伊部の歴史を知ることは、伊部の明日を考えること」を合言葉に、15人の伊部誌編纂委員会(「伊部の歴史を知ろう会」の役員が中心になり、学識経験者、4年間の自治会長で構成)が、自治会の応援のもと、住民力を一つにして取り組みました。

 

ふるさと伊部・裏表紙裏

 

「伊部の歴史を知ろう会」は2012年に発足。編纂委員を中心にしたメンバーで、講師を招いて伊部の歴史や文化をテーマに講座を開いたり、伊部自治会が保管する古文書を博物館の学芸員の指導で整理、解読したりしながら考察を重ねて原稿をまとめていきました。

戦国時代には浅井家の居城となった小谷城の城下町として、江戸時代には北国脇往還の宿場町として栄えた、伊部。
戦後まもなく発生した大火からの復興。
浅井長政の三姉妹の生涯を描いたNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国―」や、放映に合わせて市内で開かれた博覧会を機に、伊部にも大勢の観光客が訪れたことなど。
小さな集落をいろどるさまざまな歴史が詰まった1冊になりました。

ふるさと伊部誌面❶

同誌は全9章から成っていますが、特に印象に残っているのは、弥生時代の伊部遺跡や古墳時代の雲雀山古墳から発見された出土品が保管されている場所を探し出して初めて見せてもらったことです。
伊部遺跡の出土品は、長浜市文化財保護センターのご好意により、現物を半年ほど伊部の交流会館へお借りして展示し、自治会のみんなに見てもらうことが出来ました。これは特に大好評でした。
また、「伊部」という地名の由来を探るため、福井県越前町の方へ泊りがけで調査研究に出向いて行ったこともありました。猛暑日が続く取材日で大変だったことも楽しい思い出として残っています。

ふるさと伊部誌面❷

 

ふるさと伊部誌面❸

2016年3月20日、長浜城歴史博物館・研究会員の集いで、伊部誌発刊についての講演をさせていただきました。このような場へ呼ばれることはめったにないので、張り切って準備をして、パワーポイントも自力で作りました。60人ほど来てくださって、足りなくなった資料を途中で印刷までされたようです。日曜日の忙しい中をほんとうに感謝申しあげたいです。

小さな自治会(戸数・66戸。人口269人)ががんばって、大きな文化事業をやり遂げました。この喜びを講演の中で伝えることが出来たと思いました。

s●講演する編集委員長❽

 

 

私の、四国にいる友達は

「(前略)全国でふるさとの事を思って、このようなすばらしい本を作られる自治会ってあるんでしょうか。本当にすごいことです。何と、すごい自治会でしょう。(以下略)」という手紙をくれました。

また湖西のマキノに住む友達は、自分の小学校の同級生とこの本を回し読みしてくれたそうです。そのうちの一人からもこんな手紙をもらいました。

「この度、H様より『ふるさと伊部』をお借りして読ませていただきました。ふるさと伊部を愛し、誇れる歴史を残したいと立ち上がられた皆さまのご苦労にエールを送ります。身近で具体的な歴史的資料を温かい目線で選ばれていること。簡潔で思いやりのあることばでまとめられていること。歴史の継承という大事業に取り組まれた人たちのふるさとを思う本気さにかかっていることを改めて知らされました。(以下略)」

 

 

ふるさと伊部❹

 

この『ふるさと伊部』は、ここに暮らす伊部の住民が元気になる本を目指しました。村の結束を生む大きな力になったと思っています。豊富な伊部の歴史を後世に語り継ぎたいと考えています。

子どもたちには、ふるさと伊部という地域に、誇りと自信を持ってほしい。新しい時代を生きて、新しい歴史を残していってほしいと願っています。

 

 

【本の概要】

『ふるさと伊部 小谷山の麓の旧城下町・宿場町』  /   伊部誌編纂委員会 編

初版発行年月:2015年06月 自費出版:サンライズ出版

内容:小谷城の城下町、北国脇往還の宿場として栄えた長浜市湖北町伊部。大河ドラマの舞台として脚光を浴びた近年の活動などを含め、集落の歴史をわかりやすく解説。

 

【本をお読みになりたい方へ】

長浜市内の図書館か滋賀県立図書館でお読みください。

(おかげさまで本は完売致しました。)

 

【場所】

長浜市湖北町伊部

 

 

 

執筆 : 肥田嘉昭

 

肥田嘉昭、文子
この記事を書いた人
肥田嘉昭、文子