• 2018.2.6 長浜の人
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ジビエを食べに! レストランびわ編


長浜の人に愛されて45年。レストランびわは、この地を代表する飲食店として約半世紀続いてきた。
かつては両親に連れられて、そして今は自分の子どもを連れて、と通う人も少なくないだろう。

中川仁さんは、このレストランを両親が切り盛りするのを「子どもだから入れてもらえなかったし、見て育ったというのとは違いますね」と笑いながらも、同じ料理の道に進み、今は厨房を担う。

 

お店ではエビフライやハンバーグという洋食の王道メニュー手がける傍ら、ごく個人的に鹿や猪の肉を使ったハムや燻製を仕込んでもいる。
残念ながらお店では登場しない、中川さんにとっての趣味のようなライフワークのようなものだ。

ただ、長浜へのUターン前、東京のフランス料理店での修業時代は、ジビエにそれほど関心がなかったのだという。
「高級品だし、扱いがむつかしいという印象がありました。こっちに帰ってきてあるとき、仲良くしていた農家さんに、檻にかかった猪の足の部分を分けてもらったんです。そこで初めて湖北の獣害のことや、獣害対策で仕留められた生き物は大半が廃棄されていると知りました」

 

湖北で鹿や猪が食材として活用されることが少ないのは「おいしさを知らない人が少なくないのでは」という印象があるという。
先の農家さんも捕らえたものを自分で調理はするものの「おいしくない」と話していたという。そこで中川さんが鹿肉をステーキにして食べてもらったところ、「こんなにおいしいとは!」と驚かれたそうだ。
料理人の技が、素材をいかようにも変えることがよくわかるエピソードだ。

 

今回の企画で、びわではジビエ料理が初登場となる。
鹿ミンチ肉の煮込みハンバーグをメインに、鹿肉のボイルハムのサラダ、ライス(パン)、そして有機豆乳で作ったシュークリーム、コーヒーのセットメニュー。
「家族みなさんで来てほしいですね。食べることを通じて、獣害のことやそれに伴う自然の変化のことを親御さんからお子さんに伝える機会になるといいですね」

 

 

 

中川さんは、空き時間や休業日の合間を縫って、畑で野菜を育て、米を作りもする。
もともと環境問題に関心をもっていたところに、東北の震災の原発事故や自身のお子さんのアレルギーのことなどもあり、食材への関心と追及を深めていった。
一時びわを離れ、無農薬や有機栽培での食材を厳選してのオーガニックレストランを市内で営んでいた時期もある。

 

今は違う。
「食材そのものよりも、自分が気持ち良く、思いをこめて料理を作れる、そんな心の持ちようが大事だと考えています。いくらオーガニックな食材であっても気持ちがイライラしていたり、焦っていたり、悲しい気持ちで扱っていればそれは良い料理にはならない。結局作り手の気持ちのあり方なんだと気づいたんです」

 

東京からUターンして頃、オーガニックレストランを開業していた頃と比べると今がいちばん肩の力を抜いて料理と向き合えている、と話す。もちろん環境のことはずっと関心があるし、びわで用いる調味料も無農薬や有機のものへと徐々に移行させてもいる。

 

 

料理人の心もちは料理にだけではなく、お店全体の雰囲気をも作りだすだろう。
長浜を代表するレストランは、気持ち良く居心地のいいレストランでもある。

 


ジビエメニュー登場期間
2018年2月14日(水)~28日(水)
月曜休 20日(火)臨時休業

鹿肉の煮込みハンバーグ(単品1200円)
セット<鹿肉のボイルハムのサラダ仕立て/ライス・パン/有機豆乳でつくったシュークリーム/コーヒー>1650円

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レストランびわ

長浜市曽根町1258
0749-72-3655
11:30~14:00(L.O)
17:30~20:00(L.O)
定休日/月曜日(祝日の場合は翌日)臨時休業あり

http://www.biwa-group.com/

矢島絢子
この記事を書いた人
矢島絢子
学生時代+数年を県外で過ごしUターン。冬の寒さをどうやって乗り切るかが毎年の課題。自転車に乗って肌寒さを感じなくなったときが湖北の本当の春到来だと信じています。そんな自転車の速度で感じるような、長浜の空気を伝えて行きます。