「つるやパンといえば?」と聞かれたら、多くの人の脳裏に「サラダパン」がよぎるだろう。
たくわんをマヨネーズであえてコッペパンではさんである。戦後木之本で生まれた、小さなパン屋さんの独創的なパンは、あちこちのメディアに取り上げられすっかり全国区になったように思う。
しかし、今回紹介する「お気に入り」はサンドイッチコーナーにある「エビステーキサンド」だ。
エビステーキとあるが、サンドされているのはエビカツである。
三角にカットした食パンにエビカツのビジュアルはごく一般的なそれと変わらない。
が、一個装に2個入っているサンドイッチのひとつには、エビカツとつぶしたゆで卵にレタスが挟まれている。味付けにケチャップ。
そしてもうひとつには、エビカツとマヨネーズであえたごぼうサラダ、レタスがサンドされている。
エビカツにごぼうサラダという組み合わせについては謎といえば謎である。
それはさておき、ふわふわのパンに具材ががっつりでとにかく食べごたえがある。
トッピングが違うから飽きない。添えられたレモンの輪切りの風味がサンドイッチに移り、さわやかさを演出してくれる。
さすがあのサラダパンを生み出した店、マッチングの妙がじんわり訪れる。
初めて食べたときの興奮はいまだ薄れず、木之本に行くたびに求めるものの昼過ぎにはたいてい完売しており、悲しい空腹を抱えて店を後にしたことも一度や二度ではない。
このサンドイッチを考案したのが創業者の妻、西村智恵子さんだ。現在つるやパンは3代目だから、おばあちゃんにあたる。
「30年くらい前に発売を始めました。なんやろねえ…いろいろ試作して考えているうちにこれがおいしいかもしれへんなあと、今の形になりました」
つぶしたゆで卵は卵まるまる1個分入ってる。それ以下でも以上でもない、トッピングのバランスを考えて1個分なのだという。
単にがっつり入っているというわけではないのだ。
そして、いちばん気になっていたごぼうサラダについて。明確な答えはなかったが、登場以来つるやパンサンドイッチ部門の一番人気だそうだ。
聞けば1日に6個しか製造していないとのこと。競争率が高いはずである。
ところで智恵子さん、なんと御年87歳でありながら、現役。エビカツをふくめたサンドイッチ類の製造を担う。
8時につくり始めて、9時過ぎには店頭に並ぶとの耳より情報を教えていただいた。
ぜひ午前中に1/6の幸運を手にしてほしい。
【エビステーキサンドイッチ 285円】
つるやパン
長浜市木之本町1105
0749-82-3162
月~土曜日8:00~19:00
日曜日・祝日9:00~17:00
無休