• 2018.2.5
  • 食と暮らし
  • ジビエと暮らし

食べる つなぐ 湖北のくらし~匠を囲んでジビエを愉しむ~


しんしんと降る雪のなか、長浜生活文化研究所と「Tsunagu」との共催イベント「食べる つなぐ 湖北のくらし~匠を囲んでジビエを愉しむ~」を開催しました。

Tsunaguは、女性3人でつくるグループで、イベントの開催などを通じて、この地で伝えられてきた食や暮らしを慈しみ、これからも残し、つないでいこうと取り組んでいます。
Tsunaguのイベントは毎回講師から郷土料理や伝統食の手ほどきを受け参加者が学ぶスタイル。その際には講師を「匠」と呼ぶことにしています。今回のイベントでもそれに倣うことに。余呉町の猟師白川芳雄さんを匠に参加者・関係者合わせて20人以上が集まりました。

今回のポイントは3つ。
1つ目が『ジビエって、おいしい!を体感してみる』。

白川さんが用意してくれたのがシカの後ろ足。
ナイフを手にした白川さんにかかると、みるみるうちに「かたまりのお肉」へ。
さばいたお肉をその場でフライパンで焼いて試食。
素材の味がわかるよう、塩こしょうを薄く振ったのみ。
「美味しい!全然臭くさみがない!やわらかい!」と、湧きあがる声。

野生獣の肉を取り扱うにあたって、必須なのが消毒。
「アルコール消毒をすることで、菌の繁殖の進み具合が違う」と白川さん。
これが肉の味にも直結してきます。
使う調理器具も使い終わったらすべて消毒をします。

日々私たちは、牛・豚・鳥などの肉を食べる機会が多く、「肉」は見慣れているものです。今回、シカの後ろ足という形あるものが、目の前で「肉」になっていく過程を自分の目で見ることで「いのち」の存在に気づくのです。
当たりまえのことなのに、これまでいかに実感がなかったかを改めて感じる機会になりました。

そして2つ目のポイントは『白川さんとの交流をより深める』。
実際に山に狩猟に出るときのこと。
仕留めた獲物を山からおろすときの大変さ。
質のいいお肉にするための、速やかで適切な解体処理や、先ほどの消毒のこと。

いのちを無駄にせず、おいしくいただくこと……。

狩猟に同行した生活文化研究所員のレポートもまじえ、白川さんは「野生獣が切り身の肉になるまでにかかる手間を知ってもらえたら」と参加者に話しかけます。

鹿の前足をさばくときの白川さんの手つきは本当に丁寧で、少しの部分さえも大切に肉にしようという心もちが伝わってくるようでした。言葉だけでなく、獲物を取り扱う白川さんのすべてにいのちへの敬意があります。

さて、お待ちかねのジビエ料理の試食。

これが最後3つ目のポイント『家庭でもおいしくジビエがいただけるコツを学ぶ』です。
登場したのは、鹿と猪の肉を使った料理なんと11品!

家庭の主婦でもあるTsunaguメンバーからは、家でも簡単おいしく作れる料理として鹿肉・猪肉の塩こうじソテー、鹿肉・猪肉の酒粕漬けソテー、鹿肉カレー
さらにスペシャルメニューとして、市内の飲食店等に特別に注文した
鹿肉バーグのデミグラスソース煮込み
鹿肉のフライシュケーゼ(焼きソーセージ)
なども!

白川さんの話を聞きながら料理を堪能していると時間はあっという間。
「生き物がお肉になるまでの苦労や過程を気づくことがなかった。『いのち』をいただくということが実感できた」
「山のいのちのことを、子どもにも伝えたい」
「思っていたよりもずっとおいしかった。気軽に手に入るようになったらいいのに」
参加者のみなさんからはこんな声が。
皆でこころゆくまで楽しみつつ、今一度、食べることを見つめ直す時間となりました。
しんしんと雪の降り積もる日でしたが、大成功のイベントとなりました。

白川さん、飲食店の皆さん、参加者の皆さん、会場の湖北の暮らし案内所どんどんさん、ありがとうございました!!

会場
湖北の暮らし案内所どんどん
〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町15-10
 TEL 0749-53-2532
URL  http://dondonbashi.com/

川瀬智久
この記事を書いた人
川瀬智久
身長188cm、市役所入庁以来、背の高さだけはNo.1をキープしています(笑) 「人がまちを動かす」を理念に、広報を通じて、人がつながり、共感を与え、市民活動を喚起、活発化させられるようがんばります!今回の取組みで、観光のような「ハレ着」とは違った「普段着」の長浜の魅力、愉しみ方を紹介し、「長浜いいね!遊んでみたいね!住んでみたいね!」と、行動に移してもらえるようデザインしていきたいですね。