• 2015.11.1 暮らしのレシピ
  • 食と暮らし

アメノイオごはんを作ってみた。


琵琶湖には何種類の魚介が住んでいるか知っていますか? と聞かれたら滋賀県民でも動揺します。
知ってるつもりで実は知らないことって案外多いものです。
種明かしをすると、100種以上。そのうちの44種が琵琶湖だけにいる固有種です。
そんな固有種のなかにビワマスがいます。

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あっさりしているけれど、旨味たっぷり。だから刺し身でも、煮ても、焼いても、どんな調理法でもおいしい。
琵琶湖のトロと言われるぐらいなので、お造りは口に入れた瞬間とろけるようです。私も一瞬ではまりました。

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このビワマスの活用法に、炊き込みごはんもあります。産卵を控え脂の落ちてきたビワマスをおいしく食べるために工夫され伝えられてきたレシピで、アメノイオごはんと言います。
滋賀の食文化財に選定された伝統食です。
アメノイオは「雨の魚」のこと。 雨が降り河川が増水したときに産卵のために遡上するビワマスの別名です。

アメノイオごはんでレシピを検索すると、ビワマスを1尾まるままお米に載せて炊き込む、最初に湯がいて骨をとり身をほぐしたものをご飯と炊くなど、ちょっとづつ料理法が異なっています。

そこで、レクチャーを求めたのが、梅花亭の菅井さん
湖北の伝統食を、若者でも食べやすく、なじみやすくアレンジして継承していこうと努めている人です。
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菅井さんの提案は、皮を焼き付けた切り身をご飯と一緒に炊き込む、というもの。香ばしく焼いた皮で魚の生臭みを軽減させてみようというものです。

 

 

フライパンでさっそくチャレンジ。
3枚おろしにしたビワマスの切り身の背をこんがり焼きます。

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身のほうまで火を通す必要はありません。
さらに、頭はダシが出るだろうと、一緒に炊き込むことにするため、一緒に焼きます。

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この半焼きビワマスを炊く前のご飯に投入。
旨みを広げるために今回は昆布、ごぼうのささがきも入れることにしました。
味付けは、酒、薄口醤油、ほんの少しの砂糖のみ。なめてみて程よくしょっぱいくらいの味付け。
ごくごく一般的な炊き込みご飯と変わらない調味です。

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我が家ではお米は炊飯器ではなく鍋で炊きます。
素材を加えていく時点でてんこもり。そもそも鍋の大きさの目測を誤ったかも…と不安になりますが、強硬突破。
鍋が吹いてから約12分、の仕上がりを待ちます。

 

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ドキドキしながらの完成。
ビワマスの身をまずは取り出し荒くほぐしてご飯に混ぜ込んでいきます。今回はあらかじめ骨をとったものを使いましたが、骨付きのままで炊き込んだ場合はここで骨をとると良いと思います。
しかしながら、ご飯がやわらかめ!水分量が少し多かったようです。鍋で炊き込みご飯をするときは材料から出る水分を想定しないといけないので、おおよそになってしまい、いつもでたとこ勝負です。炊飯器なら目盛り通りで問題ないと思います。

 

 

上に三つ葉を散らして、初めてのアメノイオごはんが完成しました。
ビワマスの脂がご飯にまわって、おいしい!
鮭の炊き込みご飯に近いものがありますが、旨みがまったく違います。

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さて、実は、このビワマス、養殖を使いました。
滋賀県ではビワマスをより普及させようと、近年養殖化に励み現在は一年を通して食べることができます。天然ものは夏季のみだし高価になってしまうので、ありがたいことです。
過去に天然、養殖を食べ比べることがありましたが、変わりないくらいおいしいです。

このレシピにチャレンジした10月はすでにビワマスは禁漁になっており、市場で養殖を購入してきました。現在の相場だと1キロが1800円くらいです。
ですので、「産卵を控え脂の落ちてきた」ビワマスをおいしく食べるという昔ながらの主旨からは外れてはいるのですが、間違いなくおいしいこの味を年中作れるのはうれしい!

そして来年は「産卵を控え脂の落ちてきた」ビワマスを使ってチャレンジしてみようと決心するのでした。

 

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骨に残った身は晩酌のあてに。

 

 

アメノイオごはんレシピ

【材料】
ビワマス 800グラム
ごはん 3合
ごぼう 3本(なくても良い)
こんぶ 1かけら
三つ葉(細ねぎ、せりなどでもおいしいと思います)

薄口しょうゆ、酒、砂糖 適量

矢島絢子
この記事を書いた人
矢島絢子
学生時代+数年を県外で過ごしUターン。冬の寒さをどうやって乗り切るかが毎年の課題。自転車に乗って肌寒さを感じなくなったときが湖北の本当の春到来だと信じています。そんな自転車の速度で感じるような、長浜の空気を伝えて行きます。