長浜の伝統食の一つに「白菜のたたみ漬け」があります。白菜を塩と赤唐辛子、昆布とともに漬け込む漬物で、昔から冠婚葬祭など特別な食事の席でふるまわれています。
白菜のたたみ漬けで有名なのが、市内酢にある「三姉妹本舗」のたたみ漬け。大都市からもたくさんの需要があり、漬け込みが始まる9月末から5月末まで、毎日丸一日漬け込みや出荷作業で追われるそうです。
三姉妹本舗を始めたのは、田辺八重子さんと姉の2人の三姉妹。田辺さんは、平成6年に農山漁村女性リーダー養成講座に参加し、漬物加工に取り組んだのがきっかけ。
「白菜のたたみ漬けは、小さい頃から母が漬けていたのをよく見ていました。地元のものの良さを都会の人たちに知ってもらいたいと思い、また女性が起業することは当時がさきがけだったので、その流れに乗りました」と。開業資金は夫から出してもらったので、儲かっても、儲からなくても5年はやってやめようと考えていたようですが、田辺さんが作ったたたみ漬けを楽しみにしている人が増え、また応援もしてくれるので現在まで続けられたといいます。
さて、たたみ漬けは、伊吹山が望める姉川流域の地域で漬けると、漬けあがったものを包丁で切っても切り口が崩れにくいなど、漬けあがりがよく食べやすいと伝えられています。
「白菜そのものがそうなるのではなくて、当地の風土で漬けるからそうなります」と田辺さんは教えてくれました。なるほど、まさに土徳の成せるわざといえますね。
田辺さんの作る白菜のたたみ漬けは、白菜1枚1枚愛情込めて丁寧に漬け込み、隠し味にお酒も入れるそうです。食べ方は生姜醤油につけて食べるのが一番おいしいそうです。
最後に「今後の抱負は?」と聞いてみると、「いや、明日のわが身はわかりません。その日その日一生懸命漬けるだけです」と、また、顔写真を撮らせてくださいとお願いしましたが、「いやいや、私は表舞台にはでないのです」と、何とも長浜人らしい、奥ゆかしさの反面、とても気丈な様子を見ることができました。
三姉妹本舗
所在地 〒529-0122 滋賀県長浜市酢176
電話 0749-73-3802
商品 白菜のたたみ漬け(浅漬け・深漬け)、赤かぶの糠漬け、キュウリ・ウリの粕漬け
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