不思議だな。やわらかく伸びて、キラキラと輝く水あめ。菊水飴。
その誕生は1636年と伝わります。原料はでんぷん粉と大麦麦芽のみ。これを糖化させ丁寧に煮詰めると、まろやかな水あめの完成です。
お店は余呉町坂口の北国街道沿いにあります。参勤交代のとき腹痛になった福井藩主が菊水飴を食べると見事に治った、との逸話のように、滋養に富み薬としても重宝されてきました。
また、菅山寺の門前町として賑わった地ゆえに、お土産用はもちろん旅の疲れを癒す存在だったでしょう。今では砂糖を使わない無添加のお菓子として、子育て中のお母さんにも評判です。
初めて水あめを食べる子どもたちからも「わぁ~なにこれ?」「おいしい!」と驚きと喜びの声が。さっぱりとした自然の甘さが、もう一口、もう一口と誘います。
伸ばして、巻いて、食べる。「そのひと手間をぜひ、楽しんでほしい」と平野さん。控えめな甘みとともにやってくるその口どけはまるで、手のひらにとける粉雪のよう。あぁ、だからだ。食べるたびに、春を感じる幸せな時間。大切にしたい、ふるさとの味。
【菊水飴】
果汁やすりおろしたしょうがを加えてお湯を注げば、体にやさしいドリンクにも!
菊水飴本舗 http://www.kikusuiame.com/ 長浜市余呉町坂口576 Tel :0749-86-2028 営業時間 10:00~日没 不定休
この記事を書いた人:小野千穂(長浜ローカルフォト)