• 2016.7.28 暮らしのレシピ
  • 技と暮らし

塗師に教わる”金継ぎ”で、大切な器を美しく使い継ぐ


伝統産業や工芸を継承したい

長浜市の観光地黒壁から東へ向かい、長浜八幡宮へ向かう参道沿いに、古い町家を改修したお店が数店舗並んでいます。そのうちのひとつ、「作り手と使い手をつなぐ」をコンセプトに、作家ものの器を取り扱う「ギャラリー八草」のオーナーは、仏壇仏具の製造工程で、漆を扱う『塗師』職人でもある渡邊嘉久さんです。

01

家業であった塗師の仕事に対して、いいイメージがなかったという渡邊さん。父の仕事を継ぎたいという思いは無かった一方で、自営業だった父の姿には憧れがあり、将来はビジネスを起こしたかったと、大学卒業後は銀行マンとコンサルティングの仕事を経験します。

しかし、仕事をこなしていく中で実態のない「虚業」としてのコンサルティングに虚しさを感じはじめたことをきっかけに、モノを生み出す「実業=塗師の仕事」を継ぐ決意をします。

時代の流れで仏壇の仕事は少しずつ少なくなっていくことは当時から分かったいた渡邊さん、「工芸の文化・伝統を残したい」「漆の魅力を知ってほしい」という2つの思いから、現在はギャラリーオーナーに加え、作家として漆器の仕事にも取り組んでいます。

20150601_077

20150601_080

20150601_002

金継ぎ教室の開催

 

20150601_047

「漆を知ってほしい」という思いから「金継ぎ教室はずっとやりたかった」と渡邊さん。昨年からギャラリーの二階を利用して金継講座を始めました。

金継は割れたり欠けたりした器を漆で継ぎ、漆の上に「金」で装飾しながら修復する、伝統的な器の修復方法です。

漆は天然素材であり、塗りがはげてきても修繕し使い続けることができるエコな素材。もちろん身体への害もありません。また、漆は湿度が高いと乾きが早くて、低いと乾きが遅い、生きた塗料でもあります。そうした漆の性質を利用したのが「金継」なのです。

20150601_003

しかし、金継は単に器を直して再利用するためのエコな手段ではありません。金継は漆という天然素材の性質と仕上げに金粉を蒔く関係から、時間も技術も必要な職人の仕事です。職人に依頼すれば、器を買った金額よりも高くなることも普通にあります。

それでも、直したいと思える器を「金継する」最大の魅力は、偶然のヒビや欠けに装飾された「金」によって、元の器とは違った美しさを纏い蘇ることにあります。

IMGP1529

渡邊嘉久さんの元で、大切な器を直してみませんか?

詳しい教室のお知らせはギャラリー八草のホームページでご確認ください。

【要予約】
【受講料】1回につき3,000円
(材料、消耗品、道具使用料含む)
(金粉、銀粉については別途実費ご負担下さい)
【直す器】陶磁器で個数はいくつでもOK
【開 催】ギャラリー八草
【申込み】0749-50-3534 もしくはお問合せフォームより
【H P】http://yatsugusa.com/contact/

ギャラリー八草(やつぐさ)
滋賀県長浜市宮前町10-12
0749-50-3534
営業時間 13:00~17:30(土日祝は11:00~)
定休日 不定休
http://yatsugusa.com/

“金継”の基本的な流れ

1.接着材となる漆で、割れや欠けのある部分に漆で接着します。

IMGP8913

IMGP8916

2.数日置いて漆が乾いたら、断面からはみ出た漆をアートナイフや耐水性のサンドペーパーで平らに削ります。

 →ここで再度漆を塗り重ねる必要がある場合もあります。

20150601_045

5.継ぎ目沿って漆を塗り、その上に金粉を蒔き、のせていきます。

20150601_056

20150601_067

6.再び漆を乾燥させてから、鯛の牙や象牙を用いて磨き上げて完成です。

20150601_073

宇留野元徳
この記事を書いた人
宇留野元徳

生活の拠点をもって、その暮らしを包括する地域のために活動する人々に憧れ長浜へ移住。自分はその中でどういった生活を営みたいか試行錯誤中。生活を彩る道具としてのモノのあり方に興味があり、生活道具のお店を経営する。また、その傍らデザインの仕事をしながら生計を立てている。